前のブログに投稿しました、親指の縫いズレについて、ご意見を下さいましたので、
写真付きで詳しくご説明をさせて頂きます。

実は、ズレる縫い方とズレない縫い方、2種類の縫い方があります。

まず、ズレない縫い方からご説明を

指先の切り口を、表側裏側と両方先にステッチを入れます。
このステッチも、真っ直ぐに縫って両脇を返し縫いする方法もありますが、返し縫いすると糸が重なり違和感が出るのと、革切れを起こす場合がありますので、コの字にステッチを入れます。
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次に、掌側と親指を縫合しますが、両サイドの切り口の箇所で返し縫いをします。
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縫い上がりは、こんな感じです。 
両端に返し縫いがしているのがお分かりだと思います。
この部分には4本の糸が重なっています。ということは4本針穴が開いていると言うことなのです。
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仕上がりは、ステッチがズレないので違和感がありません。
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次に、通常行っているズレる縫い方

掌側だけ、切り口にステッチをコの字て入れます。
縫い上がりから、親指の切り口に渡ってステッチをいれ、縫い合わせて行きます。
コの字に縫い合わせて行く感じです。
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裏から見た感じです。
両サイドに返し縫いをしないので、裏面は綺麗に仕上がります。
糸が何重にも重なっていないので耐久性に優れ、指への当たりも優しいです。
また、糸を切っていないので、ホツレることもありません。
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表から見ると、ステッチ一目分ズレが生じます。
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手袋にも、使用目的や素材等により様々な縫い方がありますが、
私が一番先に考えているのは耐久性です。それを重視するため犠牲になる部分も当然出てくることもあります。

見栄えを取るか、耐久性を取るか、それぞれだと思いますが、
とにかく全てにおいてパーフェクトな手袋を作ると事は、絶対に不可能だと言うことです。